起業する地域や場所の決定は、起業時の重大事項です。
起業して働く地域・場所はどこが良いでしょうか。
そこで本記事では、起業して働く地域や場所の特徴やメリット・デメリットについて考察します。
最後まで読んでいただければ嬉しいです。
起業する地域
起業し業務を進める地域はどこが良いでしょうか。
ここでは都市/地方に分けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
都市

メリット
・情報が早い
都市は人口が多い分だけ、様々な専門家が集まります。
起業に関しても知識・スキルを持った専門家が多く、起業セミナーや交流会等で一次情報をいち早く得ることが可能です。
・人材が豊富
人材は人口に比例して豊富になるため、業種によっては採用がスムーズに運ぶ傾向にあります。
都市部では多くの新たなトレンドが生まれ、それらの情報を求めて若年層が都市に集積する循環が絶え間なく続いています。
企業側も地方で起業して事業規模が拡大すると、優秀な人材を採用するために、都市に事業拠点を移すケースがあります。
・単価が高い
業種によりますが、売上の単価は都市が高い傾向にあります。
しかしながら、固定費も高くなる傾向にあるため、一概にメリットと言い切れない場合があります。
デメリット
・固定費が高い
都市は人件費やオフィスの賃貸などの固定費が高くなります。
特にオフィスの賃貸料は都市と地方で大きな差が生まれます。
現在はリモートワークが普及したため、都市に事業所を構える必要性が無くなり、業種によっては固定費を抑えるために事業拠点を地方に移す企業が増えると推測されます。
地方

メリット
・地域の特色が付加価値になる
その地方のみが持っている独自の特色があれば、その付加価値は大きく、ブランディングにより利益率が高いビジネスを展開できる可能性があります。
EC(電子商取引)が一般的になった現在では、例えばご当地グルメを全国に展開することが手軽にできます。
また古くからその地域に伝わる産業や工芸品は、デザイナーとのコラボにより新たな顧客を開拓する事例もあり、隠れているポテンシャルを引き出すことで、新規のビジネスを創出することが可能です。
・固定費が安い
起業したばかりで資本が少ないステージでは、事業に掛かるランニングコストを出来る限り抑えたいところです。
ビジネスでの主な固定費はオフィスの賃料と人件費ですが、大まかな相場として、賃料は都市~地方間で3~4倍、人件費は2~3割の差が付きます。
地方で起業すると、この恩恵を充分に受けることが可能になるため、その分だけビジネスを軌道に乗せる確度が高まります。
・地域独自のネットワークや支援団体がある
地方は都会に比べて人との繋がりが密で、それは起業家同士でも当てはまります。
共に地域を盛り上げていく仲間として、起業家の間で強固なネットワークが形成されています。
生まれた時からその土地で暮らしていた地元の起業家は勿論のこと、他の地域から移住してきた起業家でもネットワークの輪に入り、強い結束力でお互いのビジネスを成功させたいという気概があります。
また事業内容の分析や戦略のコンサルティング、シェアオフィスやコワーキングスペースを提供するなど、起業家やその卵を支援する団体が活動している地域もあります。
このような場で交流が深まり、その地域ならではの貴重な情報を享受できます。
・地域独自の優遇制度が受けられる
人口流出による人口減や過疎化に歯止めを掛けようと、多くの地方自治体が起業家が外部から移住しビジネスを展開することで、地域が活性化することを望んでいます。
地方自治体による主なサポート内容※を以下に記述します。
- 経費に関する補助金や助成金
- 拡充のための販路支援
- 事業に関する課税免除措置
※地方自治体によって起業家へのサポート内容は異なるため、事前に調査する必要があります。
デメリット
・人材の獲得が困難
地方にも採用に値する人材は存在しますが、その絶対数は都市に比べると少ないのは避けられません。
その地域のハローワークや地元の求人広告を利用するのが一般的ですが、求めるレベルの人材を確保できるかは、また別の話です。
特に起業当初は人脈がほぼ無いに等しく、地域の同志から人材を紹介してもらうことは期待できないため、都市部のように”求人すれば人材は直ぐに見つかる”といった認識は持たない方が賢明です。
・トレンドに乗り遅れる傾向がある
社会におけるトレンドや流行は、主に都市部で発生し、時間を経て徐々に地方へ浸透します。
よって世間のトレンドや流行を影響を大きく受けるビジネスを展開する場合、地方での起業がトレンドに乗り遅れる原因になることがあります。
現在はWebメディアやSNSにより場所を選ばず情報を得ることは可能ですが、これからビジネスを仕掛けようとしている起業家等から得られる一次情報と、インターネットから得られる二次情報では、その鮮度や価値に大きな差があります。
地方で起業する場合、鮮度・価値の高い情報を自ら仕入れる意識が求められます。
・イベント等の交流の場が少なく、人脈を広げるのは困難
地方は都市部に比べると人が集うイベントが圧倒的に少なく、人脈を広げるチャンスが乏しい傾向にあります。
仮にイベントに参加しても、毎回同じ顔触れになることがあり、イベントそのものに意義を見出すことができません。
よってイベントに頼らず、その地域に起業家間のネットワークや支援団体を探し、積極的に参加するのが得策です。
また人脈を広げるために都市部に出掛ける場合、時間的・金銭的コストが発生するため、地方の場合はその手間を承知の上で起業する必要があります。
・商圏が狭く、ビジネスの展開に限界がある
業種によりますが、商圏がその地域のみの場合、既存の競合他社が大きなシェアを占めていれば、よほどの差別化がなければ参入しても勝ち目は低いと考えなければいけません。
また地方は需要そのものが少ないため、正に”小さなパイを奪い合う”状況となり、事業の発展にも限界が見えてくるのは必然です。
よってインターネット環境をフルに活用し、最低でも『商圏は全国』と言えるビジネスモデルを取り入れるのが賢明です。
起業して働く場所
次に、働く場所について考察します。
働く場所は、主に5つに分類されます。
- 賃貸オフィス
- レンタルオフィス・バーチャルオフィス
- コワーキングスペース
- 自宅
- カフェ・ファミレス
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
賃貸オフィス

主に不動産会社が紹介している物件から選択し、業務のための専有スペースを借りる形態です。
賃貸オフィスを住所にする場合、ビジネスに取り組む姿勢を示し、且つ一定の利益を上げている証左になるため、その安定度から対外的な信頼度が最も高くなります。
また新たな人材を採用するには、面接会場は賃貸オフィスであれば応募者も安心するでしょう。
当然ですが、その分の固定費は掛かるため、資本的に余裕が無い起業時から賃貸オフィスを構えるのは困難なケースもあります。
レンタルオフィス・バーチャルオフィス

レンタルオフィスはビルのフロア内に分割された個室を借りる形態です。
賃貸オフィスよりも格段に低額で利用することができるため、主に少人数でのスタートアップ時に適しています。
バーチャルオフィスは、法人の登記住所のみを借りる形態です。
こちらは個室を利用しない分、更に格安で契約することが可能です。
コワーキングスペース

主に起業家同士が事務所や作業スペースを共有し、各々のビジネスに取り組む形態です。
作業する席は自由で、他の起業家と交流し易いメリットがあります。
よって展開次第では起業家同士でコラボし新たなビジネスが生まれる可能性があります。
またコワーキングスペースの運営会社が定期的な交流会やセミナーを開催することが多く、新たな情報を常時入手できる環境が整備されています。
契約金額は数千円~と非常に安価で、固定費を限りなく抑えることが可能です。
但し、他の起業家同士のコミュニケーションが時に耳障りになるケースがあるため、人との交流を好まない、もしくは必要ない場合はコワーキングスペースを利用するメリットをあまり享受できません。
自宅

最も固定費を抑えることができる場所は自宅です。
PC一台とインターネット環境があればどこでも仕事が可能になった現在では、自宅は起業する主な場所となり、自宅の近所にコンビニがあればプリンターすら必要無いほど環境が整っています。
またリモートワークの普及により、業界によっては会社員で最も”一般的な”仕事場になりつつあります。
当然ながら通勤時間も無いため、日々の通勤ラッシュとは無縁で、且つ通勤に費やしてきた時間を有効に活用できます。
カフェ・ファミレス

「ノマドワーカー」という言葉が定着しましたが、主にフリーランス(個人事業主)がラップトップで業務に取り組む場所として、カフェやファミレスなどの飲食店が挙げられます。
またWiFi環境を提供する飲食店も多く、現在は働く場所として定着しました。
但し、本来は働くための場所ではないため、ある程度の雑音等には目を瞑らなければいけません。
あくまでも補完的な仕事場として上手に活用しましょう。
働く場所を決める主な基準
ビジネスを展開する地域や場所は、幾つかの判断基準から決定されます。
主な判断基準は以下の2つです。
対面での取引の有無

取引先と対面で打ち合わせ等を行う場合は、先方が自社オフィスに来社するケースがあるため、会議室等が設けられた自前のオフィスを構えなければなりません。
しかしながら、コロナ禍でビジネスでのWeb会議が浸透したため、現在では必ずしもミーティングルームが必要ではないと考えるのが一般的です。
それでも特定の業界や会社によっては対面での打ち合わせを重んじることもあるため、そのような取引先を抱えている場合は、当然ながら自社オフィスが必要です。
仲間の有無

起業時に限らずビジネスパートナーが存在する場合は、自社オフィスを構えた方がベターです。
その理由として、
- 自宅をオフィスにするとビジネスパートナーを自宅に招くことになり、諸処の問題の原因になる
- 仕事のon/offを切り替えることができる
1人で起業すれば1つ目の問題は生じませんが、2つ目の問題として業務の効率が悪くなるなどの弊害が生じ得ます。
その対処法として以下が挙げられます。
- レンタルオフィス(個室)を契約する
- バーチャルオフィス・コワーキングスペースを契約して共有スペースを利用する
働く場所のお勧めは…
ここでWATAのお勧めはバーチャルオフィスです。
バーチャルオフィスはレンタルオフィスよりも低額で契約することが可能で、且つ仕事に取り組める共有スペースばあれば外出する機会を作り出すことができるため、生活にメリハリが付きます※。
またバーチャルオフィスでは登記上の住所を借りることで、法人登記の住所を自宅にすることがないため、セキュリティの観点からも優れています。
※バーチャルオフィスでも共有スペースを利用できるオフィスがあります。
まとめ - 起業には、自分自身が居心地の良い地域、場所は『自宅+α』がベスト!

ここまで、起業して働く地域・場所について考察しました。
働く地域については、商圏に制約が無ければどの地域を選んでも大きな差は生じ難く、業務の効率を踏まえて自分自身の居心地を最優先するのが有効です。
そして最も大切なことは、上記のように1人で起業すれば、ビジネスパートナーへの配慮が必要ないため、ほぼ制約の無い条件で働く地域・場所を選択することが可能です。
これも1人起業の大きなアドバンテージですね。
また働く場所については、コスト面から自宅が最も良いと考えられますが、時には気分転換を兼ねて違う場所で仕事に取り組みたい場合もあるかと思います。
その対処法としては、上記のように共有スペースが設けられているバーチャルオフィスがお勧めです。
作業できる拠点を複数持っていれば、その時の気分で自由に選択することができます。
このように、自分自身のパフォーマンスが最大化できる地域・場所を見つければ、ビジネスが成功する確度を格段に向上させることができます。
あなたにとってベストな働く地域・場所を見つける参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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